井川遥 (Haruka Igawa): an-an No.1920
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24日の米株市場で「売り材料」とささやかれたのは、アジアの株式市場が開く前に飛び出したムニューシン財務長官のツイートだった。米銀大手6行のトップと相次ぎ電話で会談し、市場の流動性について確認したという。さらに米財務省は米連邦準備理事会(FRB)や米証券取引委員会(SEC)などの代表者と金融市場を巡る大統領作業部会(PWG)を24日に開くと公表した。PWGは1987年の株価暴落後に発足した会議だ。
「なぜムニューシンは誰も感じていない疑問に答えたのか、市場は不思議に思っている」。米ジョーンズトレーディングの上場投資信託(ETF)取引責任者、デイブ・ルッツ氏は市場の雰囲気をこう伝えてくれた。トレーダー仲間たちとの会話では、株式市場の流動性や銀行システムの安定性が失われると心配する声はなかったという。
相場急落に直面してもウォール街はここまで冷静さを保っていた。個人投資家の節税目的の売りやファンドの解約売り、ボラティリティー(相場変動率)の上昇による機械的な売り……。売りたい投資家の多さに対して、買い手が圧倒的に少ない。24日は日本とドイツが休場だったことに加え、米国は25日の休場を控えていた。季節的な買い手不在の状況が、相場を実態以上に悪く見せているとの認識が一般的だ。
米国を中心とした世界景気の拡大や良好な企業業績に支えられ、日経平均は10月2日に2万4270円62銭と約27年ぶりの高値を付けた。その後、貿易摩擦を巡る米中の対立が先鋭化したことで、日経平均は急速に下げ足を速めた。10月2日からの下落幅は、25日の寄り付き時点で4485円(18.5%)に達し、東証1部の時価総額は100兆円以上減少している。
大和証券の壁谷洋和チーフグローバルストラテジストは「世界的な景気減速懸念が払拭されていないことが株安を招いている」と指摘。そのうえで「企業業績からみれば日本株の割安感は強いが、売りが売りを呼ぶ下落相場では投資尺度(バリュエーション)が着目されにくい」と話していた。

