M&A(合併・買収)や設備投資の積極化を背景に、企業の資金ニーズは緩やかな増加傾向にある。
新規上場を除いたエクイティファイナンスは18年に前年比15%減の約1兆円となる見通しだ。東急不動産ホールディングスなど前年より13社多い78社が実施したものの、1件当たりの調達額が減っている。日銀のマイナス金利が導入された16年以降、調達額の減少が鮮明だ。
一方、負債による資金調達は活発だ。満期までが10年を超える超長期債の発行が相次ぎ、JTや東レが発行した。投資適格の中で格付けが最も低いトリプルB格の社債発行額も1兆200億円と、金融危機前の07年以来の多さだ。普通社債より高い金利を求められる劣後債も楽天が発行するなど高水準だ。
銀行借り入れも増えている。日銀によると国内銀行の貸出残高は17年度末時点で490兆円強と14年度末に比べて40兆円弱増えた。
企業の資金調達が負債へシフトしているのは低金利が長期化しているためだ。長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは21日時点で0.040%で、社債利回りへの上乗せ幅も低水準だ。一方、株主の期待リターンを示す株主資本コストは東証1部企業(金融除く)で6%程度と、負債コストを大きく上回る。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の池崎陽大氏は「マイナス金利以降、負債コストは低くなった。財務レバレッジを高めて自己資本利益率(ROE)改善にもつながるため企業の社債需要が高まっている」と話す。
市場関係者の間では国内金利は今後も低水準で推移するとの見方が多い。19年も企業の資金調達は「負債優位」の状況が続く可能性がある。